薄毛・脱毛のお悩み、特にAGA(男性型脱毛症)、FAGA(女性男性型脱毛症)について、日本皮膚科学会による「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」で発毛効果があるとされている治療法を中心にまとめています。
ここに記載している治療法以外の方法(頭皮マッサージ、シャンプーなど)は、発毛効果の医学的根拠は示されていませんので注意が必要です。
処方薬の投薬治療
内服・外用薬を使って薄毛の進行の抑制、発毛の促進を行う治療法です。
医薬品として効果が認められている薬を使用します。発毛効果が認められている成分はごく一部であり、処方を受けられるのは医療機関のみとなります。
内服薬
デュタステリド 0.5mg/0.1mg |
AGAの原因であるDHT(ジヒドロテストステロン)を作り出す5α還元酵素を阻害する内服薬。5α還元酵素Ⅰ型・Ⅱ型共に阻害する為、フィナステリドよりも効果が高いとされる。 |
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フィナステリド 1mg/0.2mg |
AGAの原因であるDHT(ジヒドロテストステロン)を作り出す5α還元酵素を阻害する内服薬。5α還元酵素Ⅱ型を阻害する。服用を続けることでAGAの進行を抑える作用が期待できる。 |
パントガール | ドイツの製薬会社が開発した女性用の飲む薄毛治療薬。主成分はビタミンBやタンパク質、アミノ酸などの基本栄養素であるため、副作用のリスクがほぼなく、脱毛症の改善が期待できる。 |
外用薬
ミノキシジル | 血管拡張作用があり、元々は降圧剤として用いられていたが、発毛効果があることから、外用の発毛薬として認可された。通常1日2回の使用で半年ほど使用すると産毛が生えたり、髪が太くなる効果が期待できる。 |
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メリット
- 手軽に始められる
- 薄毛の進行を遅らせることができる
- 市販薬より効果が期待できる
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デメリット
- 毎日薬を飲んだり塗ったりする必要がある
- 薬をやめると効果がなくなる
- 体質によって効果に差があり、確実に発毛するとは限らない
- 効果が出るまで時間がかかる
- 副作用がある
自毛植毛
薄毛が気になる部分に、AGAの影響を受けにくい後頭部や側頭部の髪を移植して薄毛部分を解消する治療方法です。
毛髪を作り出す細胞ごと移植するため、植え変えた毛髪は頭皮に根付き、元の髪と同じように伸びたり生え変わったりします。自分の髪なので拒絶反応の心配はありません。
自毛植毛手術の種類
ニードル法 | 専用の針を使用し、穴開けと植え込みを同時に一本一本行う施術法。 |
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FUT法(ストリップ法) | メスで頭皮ごと移植毛を採取。株ごとに切り分け、移植先の頭皮にスリットを入れて植毛する。 |
FUE法 | パンチブレードで移植毛を株ごとくり抜いて採取。多くの場合、移植先もパンチブレードで丸く極細の穴を開け、植毛する。 |
ロボット植毛 | FUE法の一種で、移植毛の採取をロボットで行う。植毛は手作業で行う。 |
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メリット
- 確実な発毛が期待できる
- 髪がない部分にも発毛が可能
- 生着したあと半永久的に生え変わり続ける
- 手術後は半永久的にメンテナンス不要
- パーマやヘアカラーも可能
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デメリット
- 一時的な傷が生じる
- 生え揃うまで半年〜一年ほどかかる
- 一度にかかる金額が高額
人工毛植毛
合成繊維(主にナイロンやポリエステル)で人工的に作られた毛髪を頭皮に植え込む手術です。
日本皮膚科学会のガイドラインでは、男性の薄毛、女性の薄毛ともに「行うべきではない施術」に分類されており、施術を行っているクリニックは少なくなっています。
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メリット
- 予め用意された人工毛を使用するため自毛植毛と比べて手術時間が短い
- 生え揃うのを待つ必要がない
- パーマやヘアカラーも可能
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デメリット
- 化学繊維を頭皮に植えるため、拒否反応が起こる可能性がある
- 定期的なメンテナンスが必要で、維持費がかかる
- 感染症などのリスクがある
メソセラピー
メソセラピーは、育毛・発毛効果のある薬剤成分を注射器や電気的な機器を用いて頭皮に注入する治療法です。薬効成分が頭皮に直接届くので、育毛剤を塗布するよりも効果が高いとされています。
メソセラピーには、注射器、アクシダーム、ローラー、炭酸ガス、レーザーなどの注入方法があります。クリニックによって採用している方法が異なります。
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メリット
- 内服薬や外用薬よりも強い効果が期待できる。
- 女性でも治療が受けられる
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デメリット
- 長期的な継続が不可欠でコストがかかる。
- 単体の治療では効果が出ないことがほとんど。
- 治療を止めると効果が持続できなくなる。
- 注射を用いる方法では、痛みや傷を伴う場合がある。
HARG療法
HARG療法とは、Hair Re-generative theraphyの頭文字をとったもので、頭皮に注射器を使って直接、育毛成分のある薬剤や成長因子と呼ばれるものを注入することで、薄毛改善や発毛を促す治療法です。
HARGは治療を止めた後も効果が継続する再生医療であると主張するクリニックもありますが、実際にそのような実例はまだ少なく、慎重な検討が必要です。
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メリット
- 内服薬や外用薬よりも強い効果が期待できる。
- 女性でも治療が受けられる
- 治療後も発毛が継続するという説もある。
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デメリット
- 長期的な継続が不可欠でコストがかかる。
- 単体の治療では効果が出ない場合がほとんど。
- 治療を止めると効果が持続できなくなる。
- 注射を用いる方法なので痛みを伴う場合がある。