「生え際や頭頂部のボリュームが無くなってきた」

「浴室や洗面所に落ちている毛が増えている気がする」

そんなお悩みを抱えていませんか？日本人の男性の約30％はAGA（男性型脱毛症）を発症すると言われています。実は、20代でも10%の確率でAGAを発症しています。

出典：日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」

AGAは進行性の脱毛症のため、早期の治療が必要になります。

この記事では、薄毛にお悩みの方に向けて、NPO法人薄毛対策協会がAGA治療について解説していきます。

抜け毛が気になっている、市販の育毛剤や毎日の頭皮ケアの効果を感じられない、そんな方はぜひ最後までお読みください。

この記事を読めば、AGAの治療法がわかり、効果的な薄毛対策ができます。

AGA治療とは？

市販の育毛剤、頭皮マッサージ、シャンプーなどは、医学的なエビデンスに基づく発毛効果はありませんので、AGA治療としては有効ではありません。

本記事では、日本皮膚科学会による「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」を基準とし、発毛効果があるとされている主なAGA治療についてまとめています。

AGAの原因

通常の毛周期であれば、2年から6年の髪の成長期があるため、髪が充分に生えそろった状態を長く保つことができます。しかし、AGAになると成長期がショートカットされ、充分な成長をしないまま、髪が抜け落ちるようになります。

そのため、徐々に髪の密度が減っていき、薄毛が気になるようになっていきます。毛周期が短くなると、生え変わることができる毛根の一生も短くなっていきます。

毛根は無限に生え変わることができませんので、徐々に死滅していく毛根が増え、生え際や頭頂部の髪が無くなっていきます。

AGAは、男性ホルモンであるテストステロンが5αリダクターゼという物質によって、DHT（ジヒドロテストステロン）に変換されることで引き起こされます。

このDHTの受容体は、前頭部や頭頂部に多いため、生え際やつむじのあたりからAGAは進行し始めます。

その他にも遺伝や生活習慣などの要因もAGAの原因として考えられますが、AGAが発症すると薄毛が徐々に進行していき、対策が遅れるほど効果を発揮しにくく、治療費も多くかかってしまいます。

AGAは進行性ですから、適切な治療をしないかぎり、薄毛が改善されることはありません。市販の育毛剤や頭皮マッサージ、シャンプーなどではAGAの進行を食い止めることはできず、お金の無駄になるばかりか、むしろ治療が遅れる原因にもなります。

生え際やつむじ周辺の薄毛が気になってきたら、早めに一度薄毛治療の専門医に相談することをおすすめします。治療が早ければ早いほど、効果的な対策を打つことができるからです。

GA治療の効果

AGA治療には時間がかかるため、すぐに効果は感じにくいかもしれません。AGA治療の効果を実感するためには、半年～1年程度の期間がかかります。

AGAは男性ホルモンの乱れが原因です。このホルモンバランスを整え、毛周期を正常化し、髪が生え揃えるには、どうしても時間がかかってしまいます。

しかし、「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」によれば、医学的エビデンスのある効果的なAGA治療が推奨されています。例えば、内服薬や外用薬による治療は『行うように強く勧める』とされていますし、自毛植毛についても『行うよう勧める』とされています。

薄毛治療の専門医に相談すれば、効果的なAGA治療ができるようになりつつあるのです。

一方、AGA治療を始めたけれど、効果が実感できないという理由で治療をやめてしまう方も多いです。早く発毛効果を実感したいという気持ちはもっともですし、効果が実感できないと治療費ばかりが出ていくため気持ちも焦ってしまうでしょう。

しかし、AGA治療はある程度の長期戦を覚悟しておき、最低でも半年以上は治療を継続するようにしましょう。

そのためには、AGA治療の効果を実感できる前に治療をやめてしまわぬよう、治療に関する知識や費用を予め知っておく必要があります。

次に、AGAに効果的な治療方法や費用、期間などを解説していきます。

AGA治療の種類

「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」では、上記の治療を勧めています。

その他のAGA対策もありますが、医学的エビデンスや安全性の確認が乏しいため、「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」では積極的に推奨していません。

また、AGA治療は保険適用外です。医療費控除の対象外ともなっています。自費診療となりますことを、予め知っておきましょう。

内服薬による治療

AGA治療の第一歩と言えるのが、内服薬による治療です。内服薬は、テストステロンをDHT（ジヒドロテストステロン）に変換する5αリダクターゼの働きを阻害する効果があります。

そのため、毛根を攻撃してしまうDHTの生成を抑え、毛周期が正常化する効果があるため、徐々に脱毛を防ぎながら発毛効果を発揮していきます。

「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」では、内服薬はAGAの治療において『行うことを強く勧める』とされています。

AGAの効果が認められている内服薬には以下の2つがあります。

• フィナステリド
• デュタステリド

それぞれを解説します。

フィナステリド

フィナステリドは、AGAの原因であるDHT（ジヒドロテストステロン）を作り出す５αリダクターゼの働きを阻害する内服薬です。５αリダクターゼのⅡ型のみを阻害する効果があり、AGAによって短縮された毛周期を正常化していきます。

フィナステリドは副作用が少ないというメリットがありますが、AGAの進行が比較的軽度でないと効果を発揮できないというデメリットがあります。

そのため、AGAの初期段階の方やAGA治療が初めての方は、まずはフィナステリドの内服から始めるケースが多いです。

フィナステリドの内服によって薄毛が改善されるには、半年程度の期間が必要です。一定のペースで継続的に内服を続けることによって、AGAが徐々に改善されていきます。

フィナステリドの費用については、1ヶ月あたり5,000円～8,000円となっています。半年間服用した場合の目安としては、3万円～5万円程度となります。

フィナステリドは商品名『プロペシア』、あるいはジェネリック医薬品がネット通販などで購入が可能です。しかし、副作用のリスクがまったくないわけではありませんし、出所がわかりませんのでネット通販での購入はおすすめしません。

フィナステリドは、必ず医師の診断と処方のもと、正しく服用することをおすすめします。

また、フィナステリドは、FAGA（女性型脱毛症）には服用が認められていません。女性ホルモンのバランスや胎児に悪影響を及ぼす可能性があるからです。

FAGAには、パントガールという内服薬の効果が認められています。パントガールも必ず医師の処方のもと服用するようにしてください。

デュタステリド

デュタステリドは、フィナステリドと同様にAGAの原因であるDHT（ジヒドロテストステロン）を作り出す５αリダクターゼの働きを阻害する内服薬です。しかし、デュタステリドは、５αリダクターゼのⅠ型とⅡ型の両方を阻害する効果があり、フィナステリドよりも強い効果が認められています。

AGAの進行が進んでいる場合や、薄毛になっている面積が大きい場合は、デュタステリドの内服から始まるケースもあります。

デュタステリドの費用については、1ヶ月あたり8,000円～10,000円となっています。半年間服用した場合の目安としては、5万円～6万円程度となります。

デュタステリドはAGAに効果的な内服薬ではありますが、フィナステリドよりも副作用のリスクが高いというデメリットがあります。主な副作用としては、男性機能の減退や肝機能障害、気力の低下などが稀に起こり得ます。

デュタステリドは商品名『ザガーロ』、あるいはジェネリック医薬品がネット通販で購入が可能です。しかし、副作用のリスクがあり、出所も定かではありませんのでネット通販の購入はおすすめしません。

また、FAGAに対する医学的エビデンスも確立していませんので、女性が服用することはできません。

デュタステリドも、必ず医師の診断と処方のもと、正しく服用することをおすすめします。

内服薬のメリット・デメリット

内服薬のメリットは、AGAの根本的な原因である男性ホルモンの乱れを整え、毛周期を正常化していくことにより、抜け毛を防ぎ発毛を促せる点です。

AGAは進行性の脱毛症であるため、AGAの進行を抑制しない限り、薄毛が改善することはほとんどありません。

内服薬による治療ならば、AGAの根本原因を改善することができるので、薄毛を改善できる見込みが高まります。

一方、内服薬のデメリットとしては、最低半年以上は飲み続けなければならない点です。それに伴って、費用の負担がかかってしまうこと、また稀に副作用が起きるリスクもあります。

市販の飲み薬やサプリメントで体調を崩してしまっては元も子もありません。AGA治療の内服薬は、必ず医師の診断と処方のもと服用するようにしてください。

外用薬による治療

AGAの治療において、内服薬と一緒に使われるのが外用薬です。頭皮に直接塗り付けることによって、毛髪に栄養を送る毛細血管の血流を促進し、抜け毛を抑えたり発毛を促したりする効果があります。

外用薬は、市販の育毛剤と同じく頭皮に使うものではありますが、市販の育毛剤とは中身の成分が異なります。そもそも市販の育毛剤には発毛効果はありません。

また、市販されている発毛剤もありますが、医師の処方による外用薬と比べると、成分や成分の量に違いがあります。また、炎症を起こしたり、かゆみが出たりする可能性もありますので、AGA治療の外用薬は必ず医師の診断と処方を受けるようにしてください。

AGA治療に有効な外用薬としては、ミノキシジルがあります。

ミノキシジル

ミノキシジルは、元々は降圧剤として用いられていましたが、血管拡張作用があることから、発毛効果が認められ外用の発毛薬として認可されました。通常１日２回の使用で半年ほど使用すると産毛が生えたり、髪が太くなる効果が期待できます。

「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」では、ミノキシジルの外用はAGAの治療において『行うことを強く勧める』とされています。

ミノキシジルの費用については、1ヶ月あたり5,000円～10,000円となっています。半年間外用した場合の目安としては、3万円～6万円程度となります。

ミノキシジルの外用は、フィナステリドやデュタステリドとの併用されるケースが多いです。内服薬によってホルモンバランスを整え、外用薬によって頭皮の血流を改善して発毛を促すという合わせ技が効果的とされています。

なお、「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」では、『ミノキシジルの内服を行うべきではない』とされています。また、ミノキシジルの外用薬はネット通販などでも入手が可能です。

しかし、自己判断でミノキシジルを購入して外用したり、内服したりすることは、副作用のリスクがあったり、出所が定かではなかったりします。

必ず医師の診断と処方のもと、正しく外用されることをおすすめします。

外用薬のメリット・デメリット

外用薬のメリットとしては、頭皮に直接薬の効果が届くことです。ミノキシジルは毛細血管を拡げて血流を良くする効果があります。そのため、ミノキシジルを頭皮に塗り込めば、髪の毛に栄養が届きやすくなって髪が太くなったり発毛が促進されたりします。

デメリットとしては、内服薬同様に継続的な治療が必要な点です。AGAは進行性の脱毛症なので、治療をやめてしまうとAGAが進行してしまいます。

医師と相談しながら、長期戦の構えでAGA治療に臨むことが大切です。

自毛植毛による治療

自毛植毛は、AGAの影響を受けにくい後頭部や側頭部の毛髪を組織ごと採取し、薄毛になっている部分に移植する外科手術です。

自分の毛髪を移植するため、副作用が起きにくく、移植した髪が定着すればそのまま生え続けることができます。すでに毛髪が抜けきって毛根が死滅している部分にも髪を生やすことができるので、AGAがかなり進行している状態であっても薄毛を改善することができます。

AGAが進行した状態では、内服薬や外用薬では薄毛を改善することが難しい場合もあります。毛周期が短くなったことによって、毛根が死滅してしまった場合には、ホルモンバランスを整えても、頭皮の血流を改善しても発毛させることができないからです。

しかし、自毛植毛なら毛髪を移植することによって髪を生やすことができます。AGA治療の最後の切り札ともいえる治療が、自毛植毛なのです。

「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」では、『行うよう勧める』とされています。

自毛植毛のメリット・デメリット

自毛植毛のメリットは、毛根が死滅した部分にも髪の毛を生やすことができることです。また、移植した髪が定着すれば、そのまま生え続けるという点もメリットも大きいです。

自分の髪を移植するので、風合いにも違和感がなく、ドライヤーやヘアカラーもできます。激しい運動をしても、汗をかいても髪をいちいち心配する必要がありません。日々のメンテナンスや術後の通院も不要なので、継続的にお金や時間を消費することもありません。

デメリットとしては、外科手術のため小さな傷が残ったり、術後に痛みを感じたりする場合があります。また、1回あたりの費用が高額になりがちな点もデメリットと言えます。初期費用で20～30万円、1株（髪の毛を移植する単位）あたり1000円～2000円程度の費用がかかります。

500株の移植でおよそ70万円、1,000株の移植で120万円ほどの費用になり、移植する株数が増えるほど費用もかさんでいきます。

しかし、術後は継続的な時間やコストを支払う必要がありませんので、他の薄毛対策と比べてもトータルで考えた場合のコストパフォーマンスが著しく低いということはありません。

また、薄毛の悩みを根本的に改善できるので、自毛植毛によるAGA治療のメリットは大きいと言えます。

その他のAGA対策

AGAの治療には他にもさまざまな対策があります。ここでは以下の3つについて追加で解説します。

• 人工毛植毛
• メソセラピー
• HARG療法

それぞれを解説します。

人工毛植毛

人工毛植毛とは、合成繊維（主にナイロンやポリエステル）で人工的に作られた毛髪を頭皮に植え込む手術のことです。

化学繊維を頭皮に植えるため、拒否反応が起こる可能性があり、日本皮膚科学会のガイドラインでは、男性の薄毛、女性の薄毛ともに「行うべきではない施術」に分類されています。

定期的なメンテナンスが必要で、維持費がかかったり、感染症などのリスクがあったりしますので、施術を行っているクリニックは少なくなっています。

メソセラピー

メソセラピーは、育毛・発毛効果のある薬剤成分を注射器や電気的な機器を用いて頭皮に注入する治療法です。薬効成分が頭皮に直接届くので、育毛剤を塗布するよりも効果が高いとされています。

メソセラピーには、注射器、アクシダーム、ローラー、炭酸ガス、レーザーなどの注入方法があります。クリニックによって採用している方法が異なります。

長期的な継続が不可欠でコストがかかるというデメリットがあり、治療を止めると効果が持続できなくなります。また、注射を用いる方法では、痛みや傷を伴う場合もあります。

HARG療法

HARG療法とは、頭皮に注射器を使って直接、育毛成分のある薬剤や成長因子と呼ばれるものを注入することで、薄毛改善や発毛を促す治療法です。

HARG療法は治療後も発毛が継続するという説もありますが、実際の効果のほどは慎重な判断が必要と思われます。また、1回あたり6万円～10万円の費用がかかる上、継続的な治療が必要なため、費用的な負担も大きくなりがちです。

AGA治療の注意点

薬は医療機関で処方してもらうこと

AGA治療の内服薬、外用薬はともに医療機関で処方を受けるようにしましょう。ネット通販などで手に入れた場合、副作用のリスクや出所が定かではない心配があります。

AGA治療薬はホルモンバランスや血行を促進する作用がありますので、自己判断での使用は危険です。必ず医療機関で処方してもらうようにしましょう。

AGA治療は半年以上継続的に行うこと

AGA治療は最低でも半年以上は継続するようにしましょう。AGAの治療薬は、一定のペースで使用することで、毛髪の育成を促していきます。

風邪薬のように飲んで数日で終わるものではありません。継続的な使用をすることで、徐々に毛髪を育成していきます。使用をやめてしまうと、その時点からAGAが再び進行してしまいます。

最低でも半年以上は継続的な治療を行っていきましょう。

AGAが疑われる場合は早めに治療を行うこと

AGAは進行性の脱毛症のため、放置しておくと薄毛の範囲が拡がっていってしまいます。AGA治療が遅いと、それだけ毛周期が早まり死滅してしまう毛根が増えていきます。

毛根が死滅してしまったら、内服薬や外用薬では治療が難しくなります。また、自毛植毛で移植できる毛髪も少なくなっていきますので、早めに治療を開始することが大切です。

薄毛が気になっていても、AGAでなければ生活習慣や頭皮ケアを行うことで改善することもできます。

まずは薄毛治療の専門医にて、AGAかどうかの診察を早めに受けておきましょう。

まとめ　AGA治療について

AGAは進行性のため、早めに治療を開始することが大切です。お近くの薄毛治療の専門医に、一度ご相談してみてください。

AGA治療のよくある質問

AGA治療は保険が効きますか？

AGA治療には保険が効きません。自費診療となります。 円形脱毛症の場合は、保険診療が可能です。

AGA治療をやめると薄毛は進行しますか？

AGAは治療をやめると、その時点からまた薄毛が進行してしまいます。治療や薬の使用は自己判断せず、医師の指示に従うようにしてください。

AGA治療薬には副作用がありますか？

AGA治療薬は副作用が起きる場合があります。AGA治療薬の使用には、必ず医師の処方を受けるようにしてください。

AGA治療は一生行わないといけませんか？

AGA治療を一生行うことは現実的ではありません。どこかの時点で治療を卒業する時が来るでしょう。 例えば、結婚した時点や仕事をリタイアした時点、年齢的に薄毛が気にならなくなった時点など、薄毛対策を必要とする目的や理由を明確にしておき、それが達成できたなら治療を終わりにしても良いと思います。

AGA治療はどこに行けばできますか？

AGA治療は皮膚科や美容整形外科、自毛植毛の専門クリニックなどで受診することができます。 薄毛が気になっているにも関わらず悩みを一人で抱え込んでいると、それがストレスとなり薄毛をさらに進行させる可能性もあります。 まず、薄毛治療の専門医に早めに相談することをおすすめします。

AGA治療に年齢は関係ありますか？

AGA治療は10代の方は受診することができませんが、20代でも10%の方がAGAを発症すると言われています。 まだ若いからと思っていると、AGA治療が遅れてしまう場合があります。早めにAGA治療を開始することが大切です。